障害年金の社会的治癒とは・再発した時の初診日は?
障害年金をもらえるかどうかで重要となる「初診日」を決める考え方の1つに
・社会的治癒(しゃかいてきちゆ)
があります。これについてくわしく解説します。
社会的治癒があればどうなる?
→ある病気を再発しても社会的治癒が認められれば
再発後の方を初診日にしてもらえる
ちょっと難しい言葉なので例を出します。
15年前 15年後
癌にかかる → 癌が再発
初診日① 初診日②
→障害年金をもらいたい
① ②のどちらが初診日となるか?
もし前と同じ病気の癌が再発したら、上の①と②どちらが初診日となるのでしょうか?
治ったと思った病気が再び発症した場合はどの時点を初診日にするのでしょうか?
初診日によっては障害年金をもらう金額が変わったり、そもそも受給できない 恐れも出ます。障害年金の条件では大切です。
・やっぱり同じ癌の病気が再発したから、たとえ治ったとしても①の15年前が初診日になるのかな?
・いや治ってから15年もたった。医者にも良いと言われたし。15年後の現在が初診日じゃないの?
どちらでも考えられそうですよね。
こういった『同じ病気に再発した。前に同じ病気にかかったことがある』といった場合の
「初診日を確定」するのに使う考え方が社会的治癒です。
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簡単に言ってしまえば
・前と同じ病気でも、下のような条件で社会復帰していたら社会的治癒が認められるケースがあります
そして認められれば
・再発後に医師の診断を受けた日が初診日(上の例でいえば①でなく15年後の②が)
となります。
障害年金の初診日の種類にも示されています。
・再発し医師の診療を受けた日
同一傷病で再発のもの、または旧症状が社会的に治癒したと認められた場合
↑こちら
では社会的治癒になったかどうかをどう決めるかといえば条件があります。
15年たったからもう治ったよね?と簡単に判断できるものではありません。
下のような条件があった時に認められます。
条件
1.症状が固定したり、無症状で医療をおこなう必要がなくなった
2.長期間にわたって、自覚的にも他覚的にも病変や異常が認められないこと
3.一定期間、普通に生活や働けていた場合
4.1~3の状態がおおむね5年くらい続いた場合
5年はあくまで目安で短いので1年半くらいで認められたケースもあり 病状や個別でちがう
5.社会復帰した状態でも、薬を飲んでいる状態では社会的治癒ではない
6.働けていても途中で自分から病院へ行くのをやめた場合は社会的治癒には当たらない
となります。薬も飲んでなくて自分から通院をやめたのでなく、社会復帰しておおむね 5年くらいたったような状態です。
社会的治癒は誰が決めるのか
これは自分で勝手に「もう10年以上たったから社会的治癒あったよね。大丈夫だよね」と 決める問題ではありません。
・お医者さんの診断書
・その人の病歴
・就労状況を示した申立書
などのさまざまな書類を通して総合的に判断されます。日本年金機構が決めます。
社会的治癒は個々の事例で判断される
→薬を服用・病院を受診中でも認められた裁決もあり
上の条件で、『薬を飲んでいたら社会的治癒ではない』としましたが、平成22年4月30日の裁決では
薬を服用中・病院に通院していても社会的治癒が認められた事例もあります。
1人ずつの事情を考慮して判断されます。
持続的服用があっても、それが予防的服薬の範疇にあると認められ、寛解状態が相当期間続き、
社会保険の被保険者として、健常者と変わりない職業生活を送っていると判断できる場合は社会的治癒を認めている
以下は厚労省のPDFファイル
出典
寛解とは「症状が安定して落ち着いた状態」です。
参考
薬を飲んでいても治すのでなく予防的に飲んでる・寛解の状態が長く続いていれば
認められる、としています。
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