障害年金 初診日とは?証明の仕方や未納・相当因果関係の意味

障害年金を受けられる条件の1つ


・初診日の確定


について解説します。




障害年金における『初診日』は普段使う意味とちょっとちがう

→障害の原因となった病気やケガで、初めて医師の診察をうけた日



私たちが普段病院にかかる時の「初診」とはちょっとした意味の食い違いを感じるかもしれません。



よく風邪ひいたり、お腹が痛くて病院に行くと受付で看護師さんに聞かれますよね



「〇〇さん、この病院に来るのは初めてですか~?」と



「そうです」と答えると初診扱いになって「初診料」のお金をとられますね。




あとは1か月以上間隔があいたり、同じ病院でも科がちがうと初診料がかかったりもします。



初診料は「初めて行った病院や、期間が空くと取られます」 病院名や時間が関係していますね。




しかし障害年金はどこの病院に初めて来たかとか期間がどのくらい空いたかは直接に関係ないです。



障害年金における『初診日』は定義があり下の意味となります。



初診日とは障害の原因となった「病気やケガ」について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日



とされています。ようは「障害を負った病気や怪我の原因」で初めてお医者さんに診てもらった日、です。


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ちょっと小難しい言葉が続きましたが


例えばこうです。



1か月前の〇月10日に、自転車に乗っていて車とぶつかり交通事故にあった。救急車で〇月10日にすぐに病院に運ばれた。



打ち所がわるく、歩けなくなり車いす生活しかできなくなった



こうであれば


・障害の原因となったケガ  → 〇月10日の交通事故


・医師の診療を受けた日   → ○月10日の事故直後 ですから、○月10日が初診日にあたりますね。



定義とあわせれば


・障害をおった原因の交通事故(→障害の原因となった「病気やケガ」)


で初めてお医者さんに診てもらったのが〇月10日(→初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)


 ですからね。




初診日の具体例



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上のような具体例があります。 3については、再発と治癒についての考え方があります。




初診日はなぜ重要なのか

→もらえる年金の額が変わったりする、人によっては障害年金がもらえない恐れも



障害年金をもらえる条件の1つにはこの


・初診日の確定


があります。3つの条件の中でこの『初診日の確定』が1番難しく重要だったりします。



なぜ重要かといえば初診日がいつかによって



・障害年金がもらえるかどうか


・金額の大小


が変わるからです。





例をだします。



Bさんは


・3年前の23歳まではフリーターで国民年金は未納だった


・今は就職が決まり、飲食店で正社員として働いている


・最近、耳が痛いと病院に行ったら「あなたは耳が聞こえなくなります」と医師から告げられる


・実は変だな、と思って3年半前に1度、耳鼻科に診察に行ったがその時は何も言われなかった



こういったケースであれば、もし初診日がBさんの3年半前のフリーター時代。



国民年金が未納時代だとしたら、障害年金は受給できません。




初診日がもし3年半前でなく、会社員となって厚生年金をちゃんと納めている現在だと 判断されれば、障害年金はもらえます。



もらえるか・もらえないかが決まるくらい重要です。 さらにフリーターで国民年金を納めていても、厚生年金を払っている時期が初診日だと 判断されれば、もらえる金額も大きくなります。



他にもたとえば



糖尿病になってもう10年もたった。


最近、神経障害がおきて手足を動かしにくくなった



ということであれば、10年以上も前になった糖尿病を考えねばなりません。




過去を思い出して、「いつが糖尿病と病院で言われた日だっけ、糖尿病の兆候があると健康診断で言われたのはいつだっけ」とかなり昔のことを振り返るのだけでも大変ですね。



初診日がすぐに分かれば、書類や証拠集めも楽に進めやすいです。




間違いやすい点

→①定義の『初めて診療を受けた日』は、障害と直接関係のない過去の通院でも、初診日になりうる

②その病気の専門のクリニックや科目で初めて診てもらった日にならないことがある



です。



勘違いしやすいのは


・必ずしも「うつ病」「糖尿病」といった病名が特定された日ではない



・障害の治療や病名の診断を初めて受けた日でなく、もっと前の検査や具合が悪くて、病院に行った日も『初診日』になりうる


点です。



例をいくつか出します。


例えば「人工透析」



人工透析で病院通いをしている方。この場合は人工透析を初めて受けた日が『障害年金における初診日』ではなく



健康診断の尿検査で異常が見つかりお医者さんにかかって治療するように、と説明された日


が初診日になりえます。


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他には精神病の場合は



幻聴やめまいで最初は耳鼻科に行った。原因がつかめず、精神科に行ったら精神病とされた。



精神科で病名を「うつ病」と診断された日が初診日ではなく、



初めて病院にかかった耳鼻科に行って「幻聴をうったえた日」が「初診日」の扱いをされることもあります



このように「病名や障害」と直接に関わりがない通院でも、障害年金において「初診日」とされる ケースがあるのも知っておきましょう。




他にもう1つ


・初診日だと判断される日が必ずしも病院や医療機関の中だけとは限りません。


 →学校での診断や保健所での検査



といった「病院以外での診断」も初診日だとされるケースもあります。




例えば、ウイルス性の菌で何か後遺症を負ってしまった場合に、医師が緊急で来て


学校内で検査で分かったとしたら、病院ではない学校での診察が初診日だと考えられるケースもあります。




初診日の証明の仕方

①通い続ける病院と同じ病院で初診日が出そう→診断書をその病院で書いてもらう



②初診日の病院と今通う病院がちがう → 受診診断証明書という書類を作ってもらう



年金事務所に「障害年金を請求します、初診日はこの日です」と証明するにはどうするかといえば


・医師からの書類


をもとに証明をします。




証明の仕方は2つに分かれます。上のように



①現在、入院中や通院中の病院が一緒で、そこで初診日が決まりそうなら  その今の病院で障害年金の請求用の『診断書』を作成してもらい提出します



②症状が重くなって今の病院は転院先・もしくは途中で医者と相性が合わなくて  病院を変えたのであれば



 初診をした病院で「受診診断証明書」という書類を作成してもらいます




②の方がちがう病院に行かなければいけないのでめんどくさいかもしれませんね。



②は電話だけで「障害年金をもらいたいので証明書を書いてもらえませんか?」とは済まず、



病院に行って面談して作ってもらわないといけないケースもあります。



あまりに時間が経っていたり、初診したお医者さんはすでにいなかったり、



カルテを見ただけでは 分からなかったりと、改めて話を聞かないと難しい場合です。

・いつの病院に行ったのかを初診日とするか



も微妙なケースもありますね。




また、上の交通事故の例のように、事故日が明確にあれば分かりやすいです。


しかしそうじゃなく例えば




ある日、朝起きたら突然耳が聞こえなくなった


過去1年でストレスや風邪で5,6回病院に行っていた


どの通院が耳が聞こえない原因と関わりがあるのか、もしくはないのか



と「いつの通院が関係するか」も判断しにくいケースだってありえます。




相当因果関係とは



では次に説明するのは、次の事例のようなケースです。




・肝硬変にかかって寝れない、歩きにくい。肝硬変でも障害年金が下りると聞いたが



 どこが初診日となるのか。コンタクトレンズを作りに眼科に1年前に行った。これが初診日となるのか?



病院への通院はあるタイミングで色んな科にかかるケースがありますね。




・メガネを作りに眼科に


・インフルエンザにかかり内科に



じゃあいったい肝硬変は、どの病院にかかったので初診日と判断するか、



明らかに肝硬変とはまったく関係ないだろう、インフルエンザにかかって内科に行ったのを初診日とみるの?



どうやって決めるの?と疑問を持ちます。



これらを決める時に考える基準が「相当因果関係(そうとういんがかんけい)」という考え方です。

障害年金の初診日を決める「相当因果関係」

→最初の傷病(病気やケガ)と、次の傷病が関係しているかどうかを判断する



ちょっと難しい用語なのでもう少しくわしく説明します。


相当因果関係があるとは


相当因果関係とは、ある行為からそのような結果が生じるのが経験上通常である場合に、



ある行為とその結果には因果関係あり、とするのが『相当因果関係』



法律の刑法でも用いられる用語です。



例えばDさんが、Iさんを棒でたたいたら2日後に死んでしまった。でもIさんは実は腎臓がんが死因だったとしたら



Dさんがたたいたことは「因果関係なし」として殺人罪にはあたりません。「Dさんには死んだ責任はない」とされます。




これを障害年金の病気や怪我で用いれば


前の病気と怪我について、それがなければ、後の病気がおこらなかったであろうと認められれば、


「相当因果関係あり」とみなされる。前後の傷病を、1つのものであると扱うこと



となります。




最初の例では分かりやすいように極端な例としました。



・水虫と難聴



耳が聞こえにくくなることと、足がかゆくなる水虫では普通であれば



後の難聴になったことと「関係ない」と考えられますね。




そうであれば『因果関係なし』として



・初診日は難聴として診断された耳鼻科


となります。このように因果関係がなければちがう病気と判断され、



因果関係を認められれば前の病気でも同一の傷病として判断されるんですね。




では次のようなケースはどうでしょうか?



神経障害で足を動かす感覚がない、めまいが頻繁でとても働ける状態ではない方


糖尿病に6年前にかかっていた。足が動かないこと(糖尿病性神経障害)と糖尿病は


厳密にはちがう病気だが、こういった場合は『因果関係』はあるの?



上の例では「因果関係あり」となります。



糖尿病性の神経障害で足が動かしにくい、手足がしびれるという障害は


糖尿病にかかっていなければおこらなかった障害です。



つまり、糖尿病と糖尿病性神経障害は「因果関係あり」となります。




障害年金の上では、同じ傷病として1つに扱われるのですね。




具体例



上の糖尿病は『相当因果関係あり』の例です。他にも代表例がありますので 列挙しておきます。



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